インビザラインの取扱説明書

インビザラインの装着

インビザラインをつけることができなくては、治療は始まりません。マウスピースの装着は慣れれば簡単ですが、最初は手間取ることもあるでしょう。つける順序としては、前歯から奥歯にかけて、指でゆっくりと押していきます。慣れるまでは鏡で確認しながらゆっくりとおこないましょう。強い力で無理やり押し込んだりすると、マウスピースの変形や歯の痛みを生じることがありますのでご注意を。この段階では8割方はまっていれば問題ありません。

その後、アライナーチューイというシリコンゴムでできたロールを噛み、しっかりとマウスピースをはめていきます。

インビザラインは、しっかりとはまっていない状態で使用すると、正確に歯が動かないことがありますので、アライナーチューイはケースに入れて常に持ち歩くようにしましょう。

インビザラインの取り外し方

インビザラインをしっかりはめるのも重要ですが、外せなくては困ります。特に、アタッチメント(白いポッチ)が付くと外すのは少し難しくなります。外す順序としては、奥歯の内側(舌側)から先に外していくのがやりやすいでしょう。右奥からか左奥からかは個人によって差がありますが、いずれにしても内側からが外しやすいことが多いです。また、爪を痛めやすいので、気をつけましょう。爪を伸ばしている方は補助具を使用することをお勧めしています。

インビザライン装着時の飲食

インビザラインを装着しての飲食は原則できません。マウスピースを装着して食事をすると、マウスピースの中に汚れが溜まり虫歯になるリスクが高まります。また、飲み物も制限されます。水分は水で摂ることをお勧めします。砂糖が入っている飲み物は、虫歯のリスクを高めます。砂糖の入っていない炭酸飲料もいいように思いますが、口の中を酸性にするので虫歯リスクを高めます。砂糖の入っていないお茶は虫歯リスクを高めることはありませんが、ステインが付きやすくなってしまいます。その他、コーヒーや紅茶など色の濃い飲料はマウスピースが着色してしまいますので好ましくありません。なので、できれば水がいいでしょう。

飲食後の歯磨きの仕方

インビザライン治療中は今まで以上に歯磨きを頑張る必要があります。歯がマウスピースで覆われているため、虫歯リスクが高くなっているからです。通常の歯ブラシによる歯磨きだけではなく、フロス(糸ようじのようなもの)や歯間ブラシを使用しましょう。歯を動かす過程や歯間に隙間を作ったときに、歯と歯の間に食べかすが挟まりやすくなります。歯と歯の間は歯ブラシだけでは磨けません。なので、フロスや歯間ブラシの使用が必要です。当院ではインビザライン治療が始まる前に歯磨きの仕方も指導しています。

通常の歯磨き粉だけではなく、フッ素ジェルの使用もお勧めしています。フッ素ジェルは歯を磨くものではなく、歯質を強化するものです。歯質を強化することで虫歯の予防を促進します。

インビザラインの手入れ法(洗い方)

取り外したマウスピースはきれいに洗いましょう。唾液が付着したままにしておくと、石灰化してマウスピースが白くなったり、臭いの原因になったりします。インビザラインは変形しやすい素材でできているので、ていねいに取り扱いましょう。洗うときは手でこすり洗いをします。こすり洗いだけでは十分でないときには、歯ブラシやデンチャーブラシを使います。歯磨き粉の使用は傷つける原因になるので避けましょう。洗い流すときはお湯を使うと変形の原因になりますので、水を使います。

インビザラインは1つのマウスピースを10日間使用するので、臭いが気になるようであれば、洗浄剤を使用しましょう。洗浄剤は、インビザライン専用のものをお勧めしています。市販の入れ歯用洗浄剤やマウスピース用洗浄剤もありますが、マウスピースが白くなったり、変形したりすることがあるので注意しましょう。

通常の歯磨き粉だけではなく、フッ素ジェルの使用もお勧めしています。フッ素ジェルは歯を磨くものではなく、歯質を強化するものです。歯質を強化することで虫歯の予防を促進します。

インビザラインの保管法

インビザラインには赤と青、2種類のケースがついてきます。赤いケースには1つ前のマウスピースを入れて保管用に、青いケースには現在使用しているマウスピースを入れるために携帯するなどの使い分けをお勧めしています。

1つ前のマウスピースを保管しておくのは、使っているマウスピースを紛失してしまった場合など、もしものときのためです。外出先でマウスピースを外すのは食事と歯磨きぐらいですが、歯磨きのときにマウスピースをティッシュに包んで置いておくことは紛失の原因になりますから、外したらすぐケースに入れる癖をつけましょう。

痛みがあるとき

インビザラインは1つのマウスピースで歯を動かす量が最小限であるため、ワイヤー矯正と比べると痛みが出ることは少ない治療法です。しかし、新しいマウスピースに変わって最初の2、3日間は多少痛みが出ることがあります。もし我慢できないほど痛くなったり、痛みが続いたりするようでしたら、ご連絡下さい。

また、歯を動かすことによる痛みではなくマウスピースの辺縁が歯肉にあたって痛みが出ることがあります。その場合、マウスピースの辺縁を丸めるなどの対処をする必要があります。このようなときも、ご連絡下さい。

長期間使えないとき

インビザラインは毎日、20時間以上装着することが原則です。そうはいっても、体調が悪い、旅行に出かけるなど、生活が不規則になることがあります。その場合、無理をして先のマウスピースに進まないようにしましょう。十分な力が歯にかからないまま先に進んでしまうとシミュレーションとの間にずれが生じる原因になります。特に、新しいマウスピースの最初の3日間は22時間以上使用する必要があります。それは、歯を動かすのに特に重要な期間だからです。

使用時間が不十分なときは当院までご連絡ください。

保定装置について

後戻りは歯を動かし終わった後の半年間と考えられており、その間は、インビザラインのマウスピースで終日使用の保定をしております。

その後は、経年変化を予防することを目的に保定装置の使用を継続していただきます。その際、終日使用から夜間就寝時の使用へ切り替え、噛む面を解放しているタイプの装置(なるべく目立ちにくい装置)を使用してもらっています(こちらの装置上下一つずつまでが費用に含まれております)。

切り替えを行う理由として、マウスピースで噛む面を長期間覆っていると、奥歯が噛み込まれて沈みこんでしまい、良好な噛み合わせが得られなくなるのと、マウスピースと違い、衛生面でも頑丈さでも長期間使用が可能なものになっているからです(透明なマウスピースは、キレイに丁寧に使って一年ほど)。

以上のリスクをご理解いただき、それでもどうしても透明なマウスピースをご希望の場合は、ご希望に沿うことも可能です。